一人で過ごす時間が「価値」を生み出す

 

 

「ひきこもれ」吉本隆明

 

吉本先生の本は「共同幻想論」など難しいイメージがありましたが、こちらの本は小学生高学年から読めそうな読みやすい本でした。

 

簡単に読めるけど、内容はなかなか刺激的。わかりやすいということは、表現もストレートでドキッとするところもあったけど、爽快感が残りました。

 

ひきこもりの人を集め一般の人と交流させるボランティアをしてる元スーパーの店長に対して、よしてくれと。

 

ひきこもりには、一人が楽な人と病気の範疇に入ってる人の二種類があって、前者にはほっといてくれと思われるし、後者は素人がボランティアで手を出すべきではないと述べています。

 

自分の尺度を他人に当てはめ、大きな声でものを言ったり、善意を押し付けたりするのは愚かです。

 

吉本先生はひきこもることで「第二の言語」が育つとおっしゃっています。

 

第二の言語とは、自分が発して自分自身に価値をもたらすような言葉です。

 

他人に伝えるための言葉ではなく、他人に伝えるのは二の次で、自分の考えたこと、感じことを内密に膨らませることのできる言葉は「価値」を生みます。

 

私自身かなりひきこもり体質です。

 

この本に不登校についても書かれていますが、子どものころは学校にもちゃんと通っていました。

 

しかし、記憶にあるのは休み時間に一人で図書館に行ったり、散歩したりしているところです。

 

小学生のときは一人で遊べたけど、中高は違います。学級でのグループや部活、塾と一人になれる機会はぐんと減りました。

 

その時、思考を完全に停止させていたと思います。そのほうがスムーズにいくから。

 

大学生になり単独行動が目立たなくなると、俄然一人。

 

最初は新しい友達と移動したりお昼を学食で食べたりしてたけど、みんな揃うまで行動しにくいのがいやでいやで、早々に切り上げ一人で次の教室でお弁当を食べていました。

 

大学生で行動範囲や移動手段、後はお金もバイトで稼げるようになると、今まで抑えていたものが解き放たれ無敵になれたような感じになったのを覚えています(笑)

 

もう親も友達も顔色を窺う必要もない。お金も時間も全部自分で決められる。

 

今は子どももできて、子育てや家のことを中心に読書する毎日です。

 

吉本先生は、自身の子育てで気を付けたことは「子どもの時間を分断しない」ことだったそうです。

 

これは本当に気を付けたい。

 

子どもも子どもなりにぼーっとしているのです。

 

私はできるだけ子どもには話しかけません。

 

話しかけられたら答えるけど、それ以外は話しかけません。

 

特に独り言を言ってるときは絶対にそちらに視線を向けません。知らないふりです。

 

相手の時間を奪わないでおこうと思うと、子どもを怒ることもぐんと減りました。

 

とにかく一人で何かしている時を大事にしてあげたい。

 

一人が寂しいという子もいます。けど一人が寂しいと誰といても寂しいのです。

 

どうか勇気をもって一人の時間を持ち、自分の第二の言語を増やしてほしいと思います。